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日々巡らす思索の結果をブログという形式に昇華した事によってインターネット上に常駐し始めた、日付順に並ぶ一連の文章群。人工衛星の様に電子の海に浮かぶそれは筆者の頭中世界を大いに反映する。
Posted by - 2024.11.29,Fri
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Posted by 雪花美鴎 - 2011.03.11,Fri
  スマートフォンというものを購入した。様々な機能が付いている。付き過ぎている。これは到底、私の手に負える代物ではない。難解である。なかなか使いこなせない。
 だが、便利といえば、便利だ。調べものをする際に、いちいちパソコンを起動する必要はなくなった。しかし、その便利さに応じて、矢鱈に手間が掛かるようになった。私は、購入してから、携帯電話としての機能に慣れるまでに、貴重な、十何時間もの時間を浪費した。全くの無駄であった。目も疲れた。乾いて乾いて、目がゴリゴリした。
 その同じ時間の間に、何が出来ただろうか。本がかなり読めたであろう。読んでいたら、今より知性が育まれていたかもしれない。何しろ、私がしていた事と言えば、前傾姿勢を取りながら、つるつるした黒光りする板を持って、有益なことを何も考えず、突っついたり、撫で回したり、さすり回したりしていただけであるから。
 つまり、私が言いたいのは(非常に逆説的であるが)便利すぎるものは、かえって不便であるということである。そんなに何もかも詰め込んじゃあいけない。鬱陶しいだけである。
 しかし、何か新しいものが放つ魅力には、抗い難いものがある。多くの人が使っていると尚更欲しくなる。だから、買ってしまい、そして幻滅、後悔する。
 何事も程々が良いのである。結局はそれに行き着く。最終真理なのかもしれない。財産も感情もそうである。お金は無いと困るが、ありすぎると、醜い欲がでて、堕落する。激しい感情は他者を傷つけ、自分も負傷してしまう。それと同様、付きすぎた機能は、機能の多さ故に、生活を便利にし、無駄な時間を短縮するという本来の意図を消失し、ただの時間消費機と化す。
 星新一の小説に、この様なものがあった。家事ロボットを購入したはいいが、そのロボットというのが、厄介なもので、頻繁に充電やらメンテナンスやらをしなくては、正常に働かない。メンテナンスはお金が掛かるし、面倒である。だからといって、それを怠ると、失敗をやらかし、余計に仕事を作ってしまう。そうして、便利さと厄介さのどん詰まりに主人公は立たされる、という作品だ。正しく現代の状況を描いていると言えるだろう。
 便利過ぎる製品のややこしい設定に時間を奪われ、活動時間が省略された脳髄が退廃していく。困ったものだ。

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