日々巡らす思索の結果をブログという形式に昇華した事によってインターネット上に常駐し始めた、日付順に並ぶ一連の文章群。人工衛星の様に電子の海に浮かぶそれは筆者の頭中世界を大いに反映する。
Posted by 雪花美鴎 - 2011.09.11,Sun
甘い砂糖菓子が踊る踊る
手を広げ、喜びに満ちた幸せな表情をたたえて
――液化寸前のひととき
私は予てより食べる事を欲していた、私の行動圏内では余り目にすることのないコンビニ製の珍しい菓子パンを、つい先日購入する機会を得た。SKE48の松井玲奈さんが絶賛していた、外はカリカリで中はフワフワ、硬軟の絶妙なバランスを保持しているというメロンパン――サークルKサンクスでしか売っていないらしい。それはどれ程美味しいものなのか。世の中に数多くあるメロンパンの中で一番美味しいと言うからには素晴らしいに違いない。それを聞いて、語る彼女の嬉々とした表情を見て、私は実際に食べてみたいと思っていたのである。――コンビニのパンは余り好きではない事に発する懸念はあったけれども。その日、久々に街へ買い物に出かけた理由の半分はそれであると言えた。以下はその一日を小説風に書いたものである。
街は賑わっていた。入るとすぐに、陽光に散らされた話し声が四方から私を取り巻く。暑気に怖じることなく放たれるその勢いは強い。私の知らないところでも街は確実に動いているのだ。流れに乗り遅れた者の如く、私は取り残された思いをする。ハレの空気に触れ、慢性的に硬直した心がどよめいた。
総体としての街は以前と比べ、明らかな違いはないように見える。だが、細かな――店の様子、人々の雰囲気は変動している。二年前程から定期的に通っている、かなり気に入った店があるのであるが、やはりそこも変わっていた。遊べる本屋をコンセプトにしたその店は一般的な本屋とは異なり、一風変わった書籍を置いていて、行く毎に新たな発見をする事が出来る。私はそこでは詩集を買った。
そうして、他の買い物を済ませ、サンクスの店内に入ると、すぐにパッケージの様子から探し出す事が出来た。また、流石にそれのみでは食べている最中に喉が乾くだろうと考え、ブラックコーヒーを共に購入した。
浮き立つ心で袋を開ける。プラスチックを挟まず、直接に見ると視覚的重量が実際の重さより案外大きく、表面を覆う強張った甲殻はゴワゴワとうねり、隆起を繰り返していて険しい。齧る前から、見た目、手に当たる質感より、サクサクとしているであろうことが察せられた。
一口食べる。口に当たるのはやはり岩のような印象で、前歯が亀裂を広げるようにして齧った小さな欠片を奥歯で噛む。硬さを残した砂糖の粒とクッキーのような生地が軽い音を立てて、砕け溶けていく。完全に混じり合うことはない。だからと言って、互いに主張しあい不協和音を鳴らすのでもない。揺らめく甘さと舌触り――緩急をつけて渦巻いて口を愉しませる。そこに溶かしバターのような、油脂の香ばしさが広がっていく。――贅沢な味だ。焼きたてを提供するという面では、劣らざるを得ないコンビニのパン業界で、内側からほのかに漂うよってくるよう生地に使用する油に工夫を凝らし、焼きたての新鮮な印象を残すのは非常に画期的である。――満足感を増す為に、外側に強烈な香料をまぶすという、情報過多とも言える、街角のギラギラした広告灯のようなやり方をとりがちであるのに。
殻を破り、二口目からは白いパン部分が混じるようになる。それは内部に適度な空気を宿した柔らかい印象であった。鉱物的な外殻とそれが口の中で包みあい混合する様が丁度良い具合である。
しかし、前歯で崩し奥歯で砕くのを繰り返している内、次第に飽きを覚えてきた。私は甘党であり、甘さに対する耐性は十分に備えていると自負しているのであるが、画一的な、全体の、締りのない甘ったるさと、それを上回る甘さの、所々混在する砂糖の白い塊には少々辟易してくる。気だるい甘味が口に染みこんで頭がぼんやりする。確かにバランスが取れていて、製品としての完成度は高いように思うが、その均衡を保っている水準がもう少しあっさりとした味に落ち着いている方が良いのではないだろうか。
甘さは中世貴族の豪奢な退廃を想起させる。頭の怠さはそこに起因するのかもしれない。私はコーヒーを流し込んだ。黒色の整然とした刺激は救いとなって口を潤した。浅焙煎の酸味がまどろこしさを一掃し、秩序を与えた。
するとどうであろうか。中和が起こったようである。コーヒーの苦味と上手い具合に調和したのであった。
満足感の内に私は食べ終えた。
感想としては、甘いが、確かに絶賛されるだけの事はあり、美味しいパンであった。
手を広げ、喜びに満ちた幸せな表情をたたえて
――液化寸前のひととき
私は予てより食べる事を欲していた、私の行動圏内では余り目にすることのないコンビニ製の珍しい菓子パンを、つい先日購入する機会を得た。SKE48の松井玲奈さんが絶賛していた、外はカリカリで中はフワフワ、硬軟の絶妙なバランスを保持しているというメロンパン――サークルKサンクスでしか売っていないらしい。それはどれ程美味しいものなのか。世の中に数多くあるメロンパンの中で一番美味しいと言うからには素晴らしいに違いない。それを聞いて、語る彼女の嬉々とした表情を見て、私は実際に食べてみたいと思っていたのである。――コンビニのパンは余り好きではない事に発する懸念はあったけれども。その日、久々に街へ買い物に出かけた理由の半分はそれであると言えた。以下はその一日を小説風に書いたものである。
街は賑わっていた。入るとすぐに、陽光に散らされた話し声が四方から私を取り巻く。暑気に怖じることなく放たれるその勢いは強い。私の知らないところでも街は確実に動いているのだ。流れに乗り遅れた者の如く、私は取り残された思いをする。ハレの空気に触れ、慢性的に硬直した心がどよめいた。
総体としての街は以前と比べ、明らかな違いはないように見える。だが、細かな――店の様子、人々の雰囲気は変動している。二年前程から定期的に通っている、かなり気に入った店があるのであるが、やはりそこも変わっていた。遊べる本屋をコンセプトにしたその店は一般的な本屋とは異なり、一風変わった書籍を置いていて、行く毎に新たな発見をする事が出来る。私はそこでは詩集を買った。
そうして、他の買い物を済ませ、サンクスの店内に入ると、すぐにパッケージの様子から探し出す事が出来た。また、流石にそれのみでは食べている最中に喉が乾くだろうと考え、ブラックコーヒーを共に購入した。
浮き立つ心で袋を開ける。プラスチックを挟まず、直接に見ると視覚的重量が実際の重さより案外大きく、表面を覆う強張った甲殻はゴワゴワとうねり、隆起を繰り返していて険しい。齧る前から、見た目、手に当たる質感より、サクサクとしているであろうことが察せられた。
一口食べる。口に当たるのはやはり岩のような印象で、前歯が亀裂を広げるようにして齧った小さな欠片を奥歯で噛む。硬さを残した砂糖の粒とクッキーのような生地が軽い音を立てて、砕け溶けていく。完全に混じり合うことはない。だからと言って、互いに主張しあい不協和音を鳴らすのでもない。揺らめく甘さと舌触り――緩急をつけて渦巻いて口を愉しませる。そこに溶かしバターのような、油脂の香ばしさが広がっていく。――贅沢な味だ。焼きたてを提供するという面では、劣らざるを得ないコンビニのパン業界で、内側からほのかに漂うよってくるよう生地に使用する油に工夫を凝らし、焼きたての新鮮な印象を残すのは非常に画期的である。――満足感を増す為に、外側に強烈な香料をまぶすという、情報過多とも言える、街角のギラギラした広告灯のようなやり方をとりがちであるのに。
殻を破り、二口目からは白いパン部分が混じるようになる。それは内部に適度な空気を宿した柔らかい印象であった。鉱物的な外殻とそれが口の中で包みあい混合する様が丁度良い具合である。
しかし、前歯で崩し奥歯で砕くのを繰り返している内、次第に飽きを覚えてきた。私は甘党であり、甘さに対する耐性は十分に備えていると自負しているのであるが、画一的な、全体の、締りのない甘ったるさと、それを上回る甘さの、所々混在する砂糖の白い塊には少々辟易してくる。気だるい甘味が口に染みこんで頭がぼんやりする。確かにバランスが取れていて、製品としての完成度は高いように思うが、その均衡を保っている水準がもう少しあっさりとした味に落ち着いている方が良いのではないだろうか。
甘さは中世貴族の豪奢な退廃を想起させる。頭の怠さはそこに起因するのかもしれない。私はコーヒーを流し込んだ。黒色の整然とした刺激は救いとなって口を潤した。浅焙煎の酸味がまどろこしさを一掃し、秩序を与えた。
するとどうであろうか。中和が起こったようである。コーヒーの苦味と上手い具合に調和したのであった。
満足感の内に私は食べ終えた。
感想としては、甘いが、確かに絶賛されるだけの事はあり、美味しいパンであった。
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